革の基礎 ~エキゾチックスキンの魅力part.1【クロコ、リザード、パイソン】~

2020.09.04


エキゾチック2

こんちには。リペアスタジオREFINEです。

エキゾチックスキンと聞いて、何を思い浮かべますか?

ワニでしょうか?それともトカゲでしょうか?

今回は、それぞれ個性的な存在感を放つエキゾチックスキンのおはなしpart.1です。

1.ワニ

エキゾチックスキンの代表と言えるのがワニ革です。

ワニ革はクロコダイル、アリゲーター、カイマンの3種類に分けられ、さらに「背中側を割るのか」「お腹側を割るのか」といった加工方法の違いでも名称が変わります。

「肚(はら)ワニ:バックカット」…背中を割り、お腹のうろこ模様を活かしている革。

肚ワニ

<滑らかな模様が特徴>

「背ワニ:フロントカット」…お腹を割り、首の部分にある頸鱗板(けいりんばん)という特徴ある突起(クラウン)を活かしている革。

ワニ革

<頸鱗板がワイルドな印象>

1-1.クロコダイル

ワニ革と聞くと、真っ先に頭に浮かぶクロコダイル。

「養殖する為のエサ代や場所代がかかる」「野生よりキズが入りにくく仕上がりが綺麗」といった理由から、養殖物は特に高い値段で取引されます。

養殖の方法は「集合養殖」と「1個体ずつの個別養殖」がありますが、喧嘩傷がつかない個別養殖の革が特に綺麗で価値が高いといわれています。

さて、クロコダイルの特徴といえば、

斑(ふ)と、

・斑(ふ)1つ1つに見られる小さなくぼみ「穿孔(せんこう)」

「斑」とは鱗のことを指し、四角の鱗を「竹斑(たけふ)」丸い鱗を「丸斑(まるふ)」と業界では呼んでいます。

「穿孔」は感覚器官の一種といわれていますが、詳しいことはまだ解明されていません。

爬虫類系のエキゾチックスキンを語る上では「斑」という言葉は避けて通れないので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

スモールクロコ(スモールスケールクロコダイル)

イリエワニ

和名はイリエワニといい、希少性が高い種類です。

スモールスケールクロコという名前からワニ自体が小さいと勘違いされる方も多いようですが、スケールは「斑」のことを指しており「小型のクロコダイル」という意味ではありません。

むしろ、個体自体は今回紹介する4種の中で1番大きくなるくらいです。

ヨーロッパのハイブランドはこのスモールクロコを集めることに注力しており、自社の養殖場で安定した供給を確保しているところもあるほど世界中で美しさが認められています。

ナイルクロコ

ナイルワニ

ナイルワニと呼ばれ、日本ではポピュラーなワニ革です。

横腹の丸みがかった長方形の斑が特徴。

シャムクロコ

シャムワニ

シャムワニという和名で知られ、全て養殖によって生産されています。

ラージクロコ(ラージスケールクロコダイル)

和名では、ニューギニアワニと呼ばれます。

スモールスケールクロコダイルと同様に、「ラージスケール」というのは斑の大きさのことを指します。

養殖での生産は行われず主に野生のものなので、傷が多く入っておりワイルドな印象

日本では古くから流通しており、メンズ・レディース問わず財布やベルトの小物等に使用されます。

1-2.アリゲーター

アリゲーター

クロコダイルに比べて胴が長い傾向にあり、穿孔がありません

「ワニ革というとクロコダイル」というイメージが強いためか、アリゲーターと聞くと安価なイメージを持つ方が多いですが、価格的にはナイルクロコより高額で取引されることも。

年間の流通量が多く、世界で最も出回っているワニ革と言えるでしょう。

養殖事業が行われていますが、野生でも設定された数量であれば捕獲が許可されています。

1-3.カイマン

カイマン

バビラスや石ワニとも呼ばれ、お腹のうろこの下にカルシウムが沈着した硬い部分があるのが特徴。

全体的に硬いので、主に利用されるのは顎から脇腹にかけてです

アメリカ・メキシコでは、背中の凹凸を利用したブーツが人気。

鞣しや仕上げの方法は日々改良され、硬い部分も柔らかく仕上げることができるようになってきています。

2.トカゲ

「小型の恐竜」といわれるトカゲですが、その革はリザードと呼ばれます。

細かく粒のそろった斑が特徴で、大きく2種類に分けられます。

リングマークトカゲ(ミズオオトカゲ)

リングトカゲ

体長2mほどにもなり、利用価値が大きい最高級品。

背中にリング状の斑紋が並んでいることから、リングマークトカゲと呼ばれています。

「リングマークを薬剤で処理してウロコの質感だけを活かすタイプ」と「リングマークをそのまま活かしたタイプ」、「フロントカットタイプ」と「バックカットタイプ」等様々な種類があります。

テジュ―(テグー)

お腹に長方形の細かい模様があり、まるで小型のクロコダイルのような表情が特徴的。

そのお腹の模様を活かすために、背中で割くバックカットタイプの状態で出回っていることが多いです。

リザードは、全体的に繊維が綿密で耐久性に優れています。

最近では牛革に型押しを行ってリザードに見せている商品も多くありますが、「トカゲ」に関する表記がなされているかどうかが見分けるポイントの1つ。

型押し品の表記には、「革」「本革」「レザー」とだけ表記されていることが多いです。

また、本物の「トカゲ」は個体によって形や模様が異なりますので、斑が均一すぎないかどうかも判断材料となります。

それでも判断に迷った際は、店員さんに聞いてみると確実ですね。

3.ヘビ

ヘビは大きさとその種類から2種類に分けられます。

3-1.スネーク(全長1m前後)

水蛇(エラブウミヘビ)やコブラ、カロングの革を指します。

コブラ

3-2.パイソンレザー(体長2~4m)

パイソンは陸生の個体なので、水棲のエラブウミヘビやカロング等のスネークに比べて、革が丈夫で軽いという特徴を持ちます。

仕上げ方法には2種類あり、光沢感を出す場合はグレージング仕上げ、ソフト感を出す場合はマット仕上げ。

特にマット仕上げの人気が高く、そのソフトな手触りと柔軟性から優美で曲線的な印象を与えます。

そのため、力強く直線的な印象のクロコダイルでは表現しきれないデザインも作り上げることが可能なのですね。

原皮の状態では、頭の方は薄く尻尾の方は厚くなっているため、加工には経験と技術が必要といわれています。

ダイヤモンドパイソン(アミメニシキヘビ)

ダイヤモンドニシキヘビ

全身にダイヤの形をした斑があることから、ダイヤモンドパイソンと呼ばれます。

最大10mになることもあり、特徴的なのは革の丈夫さとそのワイルド感。

ダイヤ型の模様は1枚1枚表情が異なるので、商品に唯一無二の個性を与えることができます。

モラレスパイソン(ビルマニシキヘビ)

ビルマニシキヘビ

個性的で不規則な図形模様が人気。

汎用性の高さから、ダイヤモンドパイソンと並んでヘビ革の主力となっています。

レッドパイソン(ヒイロニシキヘビ)

しっぽが短く胴が太い体型で、その名の通り身体全体が赤みを帯びています。

斑が他の種類に比べてあまり美しくないので、国内では模様を脱色した加工がほとんど。

しかし海外では、腹部の特徴的な模様を活かしたカウボーイブーツが人気だそうです。

アフリカパイソン(アフリカニシキヘビ)

アフリカの代表的なニシキヘビで、最大の個体は7~8mにも及びます。

アナコンダ(アナコンダ)

アナコンダ

オリーブに近い緑色の地に黒く大きな水玉模様が、個性的な風合いを出しています。

パイソンの商品はウロコがすぐに剥がれそう、と思っている方が多いのではないでしょうか?

蛇はウロコの動きで動くので、体の動きに合わせて柔軟に動きを変えられるようにウロコの1角はしっかりと体に固定されています

丁寧に扱っていれば、まず剥がれ落ちることはないと思いますのでご安心ください。

4.まとめ

今回はワニ・トカゲ・ヘビ等、爬虫類を中心におはなししました。

しかし、まだまだエキゾチックスキンは存在するのです。

次回エキゾチックスキンの魅力part.2では、「あの鳥」や「あの魚」の革がおはなしに登場。

どうぞ、お楽しみに。

それでは、また次のページでお会いしましょう。

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