2020.09.17
こんにちは。リペアスタジオREFINEです。
少しずつ涼しくなり、秋が近づいてきましたね。
履いていなかった秋靴や冬靴のお手入れをして、これからの季節に備えませんか?
今回は、靴のお手入れ【初級編】のおはなしです。
目次
1.革靴の基本のお手入れ
毎日履く靴ですので、日常的なお手入れが大切になります。
1-1.履いた後
ブラッシング
まずは、ブラッシングでほこりを落とします。
その時使用するのは、馬毛ブラシがおすすめ。
ブラシの種類についてはこちらのPageでお話ししていますので、ご覧ください。
シューキーパーを入れる
靴の型崩れを防ぐために、「シューキーパー」という靴の骨格のようなものを入れます。
シューキーパーを選ぶうえでのポイントは「素材」「サイズ」「構造」の3つ。
素材…木製とプラスチック製の2種類です。
革にはもともと湿気を吸ったり吐いたりする性質があるのですが、シューキーパーを入れるとそれが上手くできなくなってしまい、湿気がこもりやすくなります。
革に湿気は大敵。(REFINEの知恵 ~梅雨到来!知ってほしい湿気と革のこと【革の水濡れ】~ 参照)
それを防ぐために、シューキーパーは木製のものをお勧めします。
ニスを塗って高級感を出しているタイプもありますが、吸湿性を考えると何も塗っていないタイプの方が効果が高いと言えます。
木は湿気を吸収してくれるので、嫌な臭いの発生を抑えカビの予防にも役立ちますね。
プラスチック製のものは軽くて持ち運びに向いているので、トラベル用に1つ持っておくと便利です。
サイズ…理想は購入したメーカーで発売されている専用のシューキーパーですが、売られていることが少ない上に少々高価。
その為、市販で自分の靴とサイズが合うものを使用してください。
構造…シューキーパーの形には様々なタイプがありますが、一番のおすすめは「つま先が斜めに割れているタイプで、スプリング式のもの」です。
このタイプは甲の部分まで支えられていてお手入れがしやすい上に、しっかりとつま先の方に力がかかるようになっており、靴の形をキープするのには理想的。
ただ、柔らかい革を使用している靴に関しては、ネジでサイズを調整するタイプの方が程よく力がかかるのでおすすめです。
シューキーパーを選ぶ際には、以上の3点を参考になさってください。
1-2.しっかりとお手入れ
日常的なお手入れに加えて、月に1回を目安にしっかりとしたお手入れを行いましょう。
その場合は、履きシワを伸ばして細かいところまで掃除できるように、予めシューキーパーを入れてから作業します。
しかし、靴にあったシューキーパーでないとシワが伸びず入れている意味がないので、先ほど説明したポイントを踏まえて、ご自分の靴にあったシューキーパーを使用してください。
ブラッシング
馬毛ブラシで、ほこりや汚れを落とします。
ステッチ(縫い目)にはたくさん入り込んでいるので、入念に。
ちなみに当社社員に聞いたこだわりは、「新品のブラシを使用する際はあらかじめアニリンカーフのクリームをなじませてから使用すること」。
そうすることでブラシの毛がなじみ、気持ちよくブラッシングできるそうです。
汚れ落とし
クリーナー(リムーバー)で汚れ落としをしていきましょう。
布に適量含ませ、撫でるように軽く靴全体を拭きます。
使用するのはツヤ出し剤配合のものではなく、ステインリムーバーのような水性タイプがおすすめ。
革靴の表面やシワの間に残っている汚れや古いクリームをさっぱりと落としてくれるので、この後に塗るクリームがなじみやすくなります。
シュークリームで磨き
乳化性タイプのクリームを布で靴全体になじませ、豚毛ブラシでブラッシングし均一に浸透させます。
さらにグローブクロスで磨くと、ツヤ感が増します。
防水スプレー
最後に、雨はもちろんほこりや汚れからも革靴を守るために、防水スプレーをかけてください。
防水スプレーの種類とかけ方はこちらのPageでおはなししています。
1-3.長持ちさせるために
日常のお手入れに加えて、以下の3つのポイントも心がけるとさらに長くお気に入りの革靴を履き続けることができると思います。
履いたら1~2日休ませる
お気に入りの靴だから、と毎日同じ靴を履いていては、残念ながらすぐボロボロになってしまいます。
1週間で2~3足履きまわすことを目安としてください。
人は足から1日にコップ1杯の汗をかくといわれていて、その湿気が乾くまでは半日~1日かかります。
地面に近くなれば湿気はその分増えるので、乾燥させる際は通気性の良いなるべく高い場所を選んでください。
また、シープスキンやピッグスキンのインソール(中敷き)を予め入れておくと、汗を吸収してくれる上にそれを外して干せば良いので、お手入れが格段に楽になりますね。
靴ベラを使用
革靴を履く際、多くの方がつい指でかかとを伸ばしがちです。
しかし無理に革靴へ足を押し込むと、かかと部分に負担がかかり「内側の革が伸びる」「摩擦で破れる」「糸がほつれる」といったトラブルをまねきますので、絶対に避けてください。
新品の靴には、履き下ろす前にお手入れを
購入後もしくは履く前日等に、「1-2.しっかりとお手入れ」をしておきましょう。
そうすることで、革靴を保護することができます。
2.様々な素材のお手入れ
ここからは革靴に限らず、素材別で靴のお手入れの仕方をご紹介します。
2-1.スエード素材
シューキーパーをいれ、豚毛ブラシでブラッシング
ついているほこりやごみを落としましょう。
毛先に絡みついていることがあるので、力を入れて丁寧にブラッシングしてください。
毛並みをほぐす
「クレープブラシ」という毛の部分がゴムでできたブラシで、毛並みをほぐしましょう。
起毛素材は時間が経つと寝てしまい、固まってしまいます。
キズやテカリの原因は、起毛が荒れたり寝ていること。
ゴムの部分をあてるように、全体的にブラッシングしましょう。
加えて、消しゴムタイプのクリーナーで汚れを落とすと、より綺麗になりますね。
この工程を丁寧に行うことで、ほとんどのキズやテカリは無くなります。
革に潤いを与える
スエード専用スプレーを使用して革に潤いを与えてください。
色褪せの回復や防水効果も期待できます。
通常はクリアタイプをおすすめしますが、色褪せがひどいときは色のついたスプレーを使用する場合も。
絶対しないでいただきたいのは、先ほどご紹介したスムースレザーの手入れのように乳化性クリームを使用すること。
毛が寝てしまい、せっかくの起毛がべったりとしてしまったりシミになる恐れがあります。
毛並みを整える
豚毛ブラシを使用して毛並みを整えましょう。
ほこりやごみを落とした時と同じブラシでも大丈夫ですが、使用する前には手ではたいて毛先のゴミを落としてください。
ブラシをかける方向は外側で、外に掃き出すイメージ。
また、ステッチに沿ってブラシをかけると糸のほつれを防げます。
2-2.キャンバス地
キャンバス地というと、スニーカーなどが代表的ですね。
お手入れとして丸洗いが良く知られていますが、いくつか注意点があります。
靴ひもやインソールは外し、分けて洗う
つけたままだと洗い残してしまう場合があります。
また、靴ひもが絡んでしまったり傷んでしまうのでご注意ください。
洗う水はこまめに変える
汚れた水を生地が吸ってしまうのを防ぎます。
すすいだ後は新聞紙を詰め、ビニールひもで形を整える
新聞紙を2~3時間ごとに変えながら、陰干しすることが理想です。
乾かす際に直射日光を当ててしまうと、本体とソール(靴底)を接着しているボンドやゴム部分が劣化したり、生地が傷んでしまうことがあるのでおすすめしません。
ある程度乾いたら、シューツリーを使用する
型崩れを防ぐことができます。
2-3.エナメル
エナメルは革表面に合成樹脂のコーティングがなされている革です。
コーティングされているといっても表面にはたくさんの細かい穴があいており、そこから湿気が入り込みます。
その為湿気の影響を受けやすく、革表面にべたつきが出たり黄ばんだりするトラブルが多いですね。
また、革とコーティングの2層構造なので、温度と湿度の変化によって収縮差が出てしまいシワになることも。
さらに症状が進むと、シワの部分に亀裂が入ってしまいます。
その状態になってしまうと、修理はほとんどお受けすることができません。
そうなる前に、エナメル専用のクリームなどでお手入れをしていくことが大切です。
しかし、いきなりクリームを塗るのではなく、まずはほこり落としから。
傷が入らないように馬毛ブラシで優しくブラッシングを行いましょう。
次は汚れ落としをして行くのですが、特に汚れているところは電解水で拭きとってから乾かします。
そして、エナメル専用ローションで全体的な汚れ落とし。
簡単な汚れは、最初からローションのみでもOKです。
そのあと、エナメル専用のクリームで革に栄養補給してあげてください。
最後に、直射日光のあたらない風通しの良いところで乾燥させて終了です。
3.お手入れ後の保管
お手入れ後の保管ですが、実は箱に詰めることはあまりお勧めしていません。
余分な湿気がたまってカビやべたつきの原因となるからです。
靴と靴がくっつかない程度の距離で、湿気のたまりにくい場所に置いておくのがベストですね。
4.まとめ
お手入れの方法、いかがでしたでしょうか。
私たちの日常に靴は必要不可欠なもの。
正しいお手入れをして、お気に入りの靴と長くお付き合いいただきたいです。
それでは、また次のPageでお会いしましょう。
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