2020.10.12
こんにちは。リペアスタジオREFINEです。
REFINEはお客様からお預かりしたお品物に「復元」を施し、お返しすることを目標としています。
今回は「革靴のキズ補修」のご依頼を承ったので、ご紹介します。
革靴のブランドは、JOHN ROBB(ジョンロブ)。
まずは、ブランドのおはなしから始めていきます。
目次
1.ジョンロブについてのおはなし
ジョンロブといえば、言わずと知れた老舗高級靴ブランド。
ジョン・ロブ氏が創業した1866年当初は、ロンドンにあるオーダーメイド靴の専門工房でした。
1902年には息子ウィリアム氏がパリに支店を創業しさらなる繁栄を極めましたが、1976年に経営が難しくなり閉鎖することに。
そこへ以前からジョンロブの高い技術に注目していたHERMES(エルメス)が名乗りを上げ、ジョンロブパリ支店とブランドの商標権を継承しました。
その後1982年から既成靴の作製にも着手し、ここからジョンロブは世界的に高級既成靴ブランドとして知られていきます。
一般的にジョンロブロンドンと呼ばれるのは、ロンドンでロイヤルワラント(王室御用達)の称号を得てオーダーメイドシューズ(ビスポークシューズ)を作っているメーカー。
一方で、通称ジョンロブパリと言われ百貨店などで目にする機会が多いジョンロブは、エルメスの資本で経営しているメーカーのことを指します。
エルメス傘下のため素材はもちろん最高級ですし、オーダーメイドシューズ(ビスポークシューズ)で培った技術も相まって、出来上がる靴が最高品質と名高いのも納得できますね。
2.実際にキズの補修をしていきます
さて、今回お預かりしたのはこちら。
つま先部分の白いキズ、お分かりいただけますでしょうか?
「外出先でつま先をうっかり擦ってしまったんです」
とお客様から伺いました。
靴のつま先や踵というのは、キズが入りやすい場所ですよね。
キズ補修のお修理は、REFINEでも良く承ります。
このキズの深さによって修理工程が変わってくる為、まずはそれを確かめます。
2-1.すっぴんにして、キズの到達地点確認
今回の修理品は、もともと鏡面仕上げがしてあるものをお預かりしましたので、本体の革にワックスが塗り重ねられている状態。
そこで、修理内容を決定する為に表面にのっているワックスを落とし「すっぴん」にします。
作業前の写真と比べてみると艶が無くなり、革本来のマットな質感になりましたね。
そして同時に、キズも見当たらなくなりました。
今回は表面のワックスが削れたキズということが確認できたので、削れてしまったワックスを取り除き「鏡面磨き」を施していきます。
2-2.鏡面磨きとは?
「鏡面磨き」とは、ワックスを塗り重ねることで、靴の表面を鏡のように輝く状態に仕上げること。
キズの入りやすいつま先や踵を保護する意味合いもあり、今回のように本体の革までキズが到達していない場合は、ワックスを塗り直すことで見た目も保護の強度も改善することができます。
2-3.下地作りからスタートです
まずは、ワックスを塗りこみ下地を作ります。
この時、通常の靴磨きを終えていることが前提。
(通常の靴磨きについては、こちらのPageで詳しくおはなししていますのでご覧ください。)
汚れやほこりがついたままで下地作りをしてしまうと、ワックスの膜にそれらが入り込んでしまい仕上がりが悪くなってしまう為、注意が必要です。
この時点でも少し艶が出てきていますが、ここからが職人の腕の見せ所です。
2-4.本磨き(動画あり)
ここからさらにワックスを塗り重ね、磨いていきます。
実際に職人が磨いている動画をどうぞご覧ください。
*編集により、実際の修理時間とは異なります。
塗りムラを防ぐため、磨いている部分に水滴を落としながら円を描くように磨きあげます。
2-5.完成です
つま先のキズも綺麗になくなり、鏡のように撮影者が写り込んでしまうほど美しい仕上がりとなりました。
3.まとめ
いかがでしょうか?
以下、今回の修理詳細です。
<修理詳細>
修理内容:つま先のキズ補修
修理料金:¥6,600
納期日数:1週間
「大切にしていた靴にキズがはいってしまった…」
お困りの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
当アトリエの職人が全力を尽くし、状態に合わせて大事な1足を蘇らせるお手伝いをさせていただきます。
*今回は「キズ補修」の一環として鏡面磨きを施しましたが、通常の「キズ補修」での仕上がりは商品の状態によって異なりますのでご了承ください。
それでは、また次のPageでお会いしましょう。
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