2021.04.07
こんにちは。リペアスタジオREFINEです。
レザーバッグの汚れってどうしていますか?
買ったときはつやつやだったのに、気づけば全体的に黒ずんでいた…
いつの間にか表面によくわからない汚れが付いている!
よく聞くおはなしです。
このPageでは、「レザーバッグの汚れ落とし修理」について紹介するとともに
・レザーの製品が汚れる原因
・汚れ落としをおうちで行うときの注意点
もお伝えします。
また、今回お預かりしたのは「ブルスコリ」というイタリア・フィレンツェにある革工房のバッグ。
ご縁があり、REFINEは公式リペアスタジオとして一緒にお仕事をさせていただいています。
Page後半では、「ブルスコリ」の工房紹介や作製されているバッグの魅力についても触れていきますので、お楽しみに!
目次
1.革のバッグが汚れる原因は?
1-1.皮脂(手垢)
身体の表面を保護するために分泌される皮脂。
皮脂が革に付着すると手垢として残ってしまいます。
ある程度の皮脂は革の表面を保護してくれたり色に深みを出してくれたりするのですが、黒ずんできてしまうと見た目が気になってしまいますよね。
特に白や淡い色の革になると目立ちます。
バッグだと、手で持つ「ハンドル周辺」や開け閉めする「かぶせ蓋」などで黒ずみが起きやすい傾向がありますね。
1-2.色うつり
革→洋服、というのも起こりやすいのですが、逆のパターンもまた然り。
湿気が多く気温が高い季節は汗をかきやすく、それによって湿った洋服から革へ色がうつってしまうのでしょう。
濃いカラー(ネイビーや黒など)の洋服→淡いカラーの革、という場合が多いかと思います。
1-3.ボールペン
バッグに入れてたボールペン、何かのはずみでノックされて先端が出てしまっていた…
これ、経験ある方多いのではないでしょうか?
ボールペンには油性インクと水性インクがありますが、油性は革の内側まで浸透してしまうことが多いので特に注意です。
1-4.過剰な保護クリーム・オイル
レザーグッズは定期的なお手入れをすることで、長く気持ちよく使用できます。
しかし、その際に注意してほしいのが「クリームの量」。
レザーの保護クリームやオイルは、塗りすぎると風合いを壊してしまう原因となります。
また、クリームはカビや菌にとってごちそう。
クリームやオイルは多ければいいというものではないので、適量を心掛けてくださいね。
↓レザーバッグのお手入れを解説したPageはこちら↓
「大切なものを長くつかうために~レザーバッグのメンテナンス【革鞄の手入れ方法】~」
2.おうちで対処する際、気を付けてほしいこと
2-1.おうち対処に向かない汚れの種類
気になる汚れは、すぐに落としたい!だから、まず家で汚れ落とししてみよう!
と思う方もいるかもしれません。
ただ、汚れの中にはおうちで落とすのに向かない種類があります。
・油性の汚れ(油性ボールペン・ファンデーション・口紅など)
・カビによるシミ
・マニキュア
・ワイン
これらは、おうち対処すると落ちない/ひどくなってしまいますので、プロにお任せするのが確実です。
また、レザーの中でもエナメル素材、スエード素材、クロコダイルなどエキゾチックレザーは、扱いが難しいのでおうちでの対処には向いていません。
2-2.「除光液の使用は避けてほしい」というのがプロの本音
革製品の汚れを家で落とす方法としてよくネットで見かけるのは、「除光液を含ませたコットンで拭く」という方法。
確かに運よく落ちる場合はありますが、同時に大きなリスクもあります。
それは、「除光液はかなり強力なので、汚れと一緒に色まで落としてしまう」というリスク。
実際にREFINEでも、「除光液が革のバッグに垂れたら、そこだけ白くなってしまった」というご相談を受けます。
そうなった場合、淡い色はまだ目立ちにくいですが、はっきりした色の商品は目立ってしまいますよね。
その為、修理のプロとして除光液での汚れ落としはおすすめしません。
2-3.消しゴムで「ゴシゴシ」こすらないで
消しゴムもおうちで汚れ落としができるアイテムとして有名。
しかし、その時「汚れを頑張って落とそう!」と全力でこすってしまうのはNGです。
汚れと共にレザーの銀面(表面)がはがれてしまうかも。
やるのであれば、優しく軽くクルクルと円を描くようにしてみてくださいね。
2-4.メラミンスポンジって、表面を削るもの
お掃除でよく使われるメラミンスポンジ。
これを使って「汚れた部分をこする」という方法もよく見かけますね。
実はREFINEでもメラミンスポンジは使用されています。
ただし、「何かを削って整える時」という用途で。
例えば、革のコバ面にニスを塗った後表面を整えるとき、など。
つまり、意外とメラミンスポンジには削る機能が備わっているんです。
やすりほど削れませんが、革をこすってみると風合いが変わってしまうことがありますので、注意してください。
↓革のコバ面について説明したPageはこちら↓
長財布の縁がボロボロ…そんな時はREFINEへ!【ゴヤールのお修理】
どんな方法にもリスクはつきもの。
ご自宅で行われる際は十分にご注意ください。
3.お預かりした商品
さて、いよいよお修理写真です。
全体的に白い汚れが付いていますね。
本体が濃い色なので、とても目立ってしまいます。
そして本体右下のパイピングと呼ばれる部分(写真一番右)は、擦れて色が剥げています。
今回は、白い汚れ取り+色剥げの補色で承りました。
↓補色に関しては、こちらの記事でもふれています↓
ヒールが取れても色が剥げても、ここまで綺麗になります!~ルブタンのお修理~
お待たせしました!
では、Afterの写真をご覧ください。
革の風合いを損なうことなく、綺麗に仕上がっています。
補色した部分も、すっかり本体の色となじんでいますね。
さて、日本ではあまり見かけないデザインのバッグ、気になっている方も多いのではないでしょうか。
次の章は、このバッグを作製している革工房「ブルスコリ」のご紹介です。
4.BRUSCOLI(ブルスコリ)という革工房の魅力
4-1.所在地は皮革の本場、イタリア
BRUSCOLI(ブルスコリ)はイタリアのフィレンツェ中央駅の近くにあります。
創業は1881年、と歴史のある革工房。
内部にはたくさんの機械が並んでいます。
複数の工房で1つの商品を作り上げるような分業制ではなく、ここで全ての作業を完結させています。
その為、大量生産ではなく心を込めて一つずつ手作り。
「全てが一点物」といっても過言ではないですね。
4-2.伝統を活かした商品作り
もともとは皮革に純金を転写する活版印刷の革工房として開業し、2代目からは装丁業も行ってきたブルスコリ。
それらに加え、現在は鞄や革小物の制作を行っています。
制作に使用するレザーは、主にベジタブルタンニンのイタリアンレザー。
そして、1800年代から受け継がれ続けている道具や伝統技術。
刻まれてきた歴史の中に品格を感じさせるバッグや革小物は、ここから生まれています。
4-3.オーナーは日本の女性
イタリアに工房があるブルスコリの現オーナーは、日本人女性です。
日本からイタリアへ渡った際ブルスコリと出会い、縁あって引き継ぐことになったそう。
日々、日本人から見たイタリアの風景にヒントを得て、様々な素晴らしい商品を制作されています。
その中でも、筆者が特に気になったのは「鍵穴バッグ」。
イタリアは似たような街並みが続いていく中で、「ドア」だけには個人のこだわりが現れているそうです。
デザイン性の高いドアノブが使用されていたり、模様が彫られていたり…。
そんなイタリア人の遊び心を取り入れたバッグがこの「鍵穴バッグ」です。
日本ではなかなかお目にかかれない重厚な金具と、丁寧に作りこまれた本体が特徴の素敵な商品です。
そして、最近注目を集めているのがこの「金装飾」のバッグ。
純金による熱刻印技術を活かした美しいバッグです!
伝統と遊び心が融合した唯一無二のバッグや革小物をお探しの方は、ぜひブルスコリのWebサイトをチェックしてみてくださいね。
また、公式インスタグラムにもたくさんの魅力的な商品が紹介されています。
心躍る商品との出会いがありますように!
*REFINEはブルスコリの公式リペアスタジオです*
5.料金のご案内
今回の修理は、「汚れ取り+補色」で承りました。
それぞれの料金は
汚れ取り→8800円(税込)
補色→6600円(税込)
です。
*送料は別途ご負担をお願いします。
6.まとめ
今回のまとめです。
◇革のバッグの汚れの原因は「皮脂」「色移り」「ボールペン」「多すぎるクリーム・オイル」など。
◇おうちでは「油性の汚れ」「マニキュア」「ワイン」は落とせない。
◇「エナメル素材」「スエード素材」「クロコなどエキゾチックレザー」は扱いが難しいので、まずプロに相談。
◇除光液:プロ目線ではおすすめできない、消しゴム:優しく軽くクルクル動かす、メラミンスポンジ:思ったより表面が削れるので注意
◇唯一無二のバッグや革小物をお探しの時は、BRUSCOLI(ブルスコリ)をチェック!
お気に入りのバッグはなるべく永く綺麗に使用したいもの。
何かお困りのことがありましたら、リペアスタジオRFINEへ!
また、Twitterにて様々なお役立ち情報やリペアスタジオREFINEについて、日常のつぶやき等、発信しています。
よろしければご覧ください!
それでは、また次のPageでお会いしましょう。
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謝辞
BRUSCOLI(ブルスコリ)の紹介を書くにあたりご協力いただいた齋藤様。
誠にありがとうございました。